ケガや病気などの治療にもかかわらず、その症状を残してしまう場合があります。
私たちは、この"
症状を残すこと"について、「
後遺症」という表現をしますが、交通事故に関する書籍などを読むと
「後遺障害」という表現となっています。
「後遺症」は、医学的に治療が行われたにもかかわらず、なお、その症状を残している状態を言います。
では、「後遺障害と何が異なるのか?」と疑問になりますが、後遺障害は、
「症状を残すことによる労働能力の喪失」
という視点で捉えられた概念で、損害保険料率算出機構にある「自賠責損害調査調査事務所」で認定されたもの、と定義することができます。
つまり、後遺症と後遺障害の関係を図で示すと、
のようになります。
この図からも分かるとおり、
「後遺障害は、後遺症の一部分」ということができます。
そのため、交通事故の被害者の中には、
「症状を残しているのに、後遺障害による慰謝料請求ができない!」
という方が存在することになります。
■顔に傷を残した場合の比較
ケガをした場合に、その傷跡が残ってしまうことがありますが、交通事故の被害者に傷が残るケースもあります。
たとえば、被害者の顔に線状痕(せんじょうこん:線状の傷跡)が残った場合、
「長さ3cm以上で12級14号」
に等級認定されます。
しかし、被害者の顔に残った線状痕が2cm5mmなど、3cmに及ばない場合は、
等級認定なし
ということで、加害者に後遺障害による慰謝料請求、逸失利益を請求することができないことになります。
※逸失利益は、労働能力の喪失による損害のことです。線状痕の場合は、逸失利益が認められないケースもあります。
2cm5mmと3cmの違いは、わずか「5mm」の差ですが、請求できる慰謝料額は大きな違いとなります。
■12級14号の慰謝料額
顔に3cmの線状痕を残し、保険会社などに請求をする場合、「自賠責保険の基準」と「裁判基準(弁護士会の基準)」と「保険会社の基準」があります。
最も高額に算定されるのは、裁判基準、少なく算定されるのは自賠責基準です。
12級14号の後遺障害による自賠責保険の基準では、
慰謝料 + 逸失利益 の合計額 = 224万円
となります。
そして、裁判基準の場合は、
慰謝料 = 290万円
が1つの目安となり、逸失利益については、個別に評価されます。
※ちなみに、線状痕が5cm以上になると、
自賠責の慰謝料+逸失利益=616万円
裁判基準の慰謝料690万円
となります(9級16号、平成23年より新設)。
つまり、交通事故の被害者にとっては、傷の大きさの違い、わずか数mmの違いが、請求額の大きな違いとなることがあります。
■そのようなわけで、等級認定は重要
このように、請求額に大きな違いが生じることから、被害者の代理人となった弁護士、あるいは、依頼を受けた行政書士は、
正しく等級認定されているか?
という点に慎重になるそうです。
そして、正しく等級認定がされないと予想される「医師の診断書」が作成された場合は、作り直しを求めるような事例もあるようです。
そして、「医師にとっての後遺症」は、言いかえるならば
治しきれなかった部分
ということで、医師の気分を害してしまうことも多く、「医師と行政書士とが対立する」という話しも聞くことがあります。
少し話しがそれましたが、交通事故の場合の「後遺障害」は、必ずしもその症状に応じて認定されるものではなく、
「どの等級に該当するのか?」
という基準で評価されます。
自分が当事者となってしまったときに、保険会社の担当の方と争いになることもありますので、興味のある方は、参考リンクで、他の情報についても確認するようにしてください。
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【参考リンク】
自賠責保険
http://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/04relief/index.html
日弁連交通事故相談センター [青本・赤い本のご紹介]
http://www.n-tacc.or.jp/solution/book.html
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Posted at 2013/04/30 01:01:30 | |
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