2012年09月17日
本当に交通事故を減らすためには何が必要?

1970年頃の日本は、年間の交通事故死者が1万5千人以上も出る程の膨大な数の被害者が発生していました。
当時のニュースなどでは、毎年1万人以上も死者が発生している状況を「交通戦争」という表現がされる程だったそうです。



その後、交通安全への意識の向上や、警察官をはじめとした社会の取り組みで、現在では、交通事故死者数4千人台にまで減らすことができました

また、現在でも交通事故の被害者を減らすための取り組みが行われていますので、少しでも効果が表れることを期待したいと思います。


しかし、その中の取り組みの中に「高齢者の運転免許証の返納を促す」取り組みがされているのをニュースで聞く度に少し疑問に思うことがありますので、記事にしてみたいと思います。

私は、どちらかというと実際の統計データなどの数値でものを考える習慣がありますので、この取り組みも実際のデータをもとに考えてみたいと思います。

まず、高齢者の運転免許証の返納が「交通事故を減らすことが目的」と仮定すると、



このデータは、「社団法人 日本損害保険協会」の「加害者側からみた年齢層別事故の特徴」というレポートに出てくる統計表ですが、高齢者が交通事故を発生しているのが多いということはなく、かえって若い世代よりも少ないことが分かります。



実際に、このレポートのまとめでも、事故の発生は平均を下回っているとされています。


「お年寄りが車の運転をしたら危険だ!」というイメージは、高速道路を逆走したりして事故を起こしてしまったりした時に流れたニュースのインパクトの強さが影響しているものと思われます。

一般的には、交通死亡事故の原因は「スピードの出しすぎ」がトップであり、他の原因ではありませんし、交通事故を多く起こしているのは"お年寄り"でもありません。


自分の判断で、自主的に運転免許証を返納する分には一向に問題ありませんし、その判断ができることは立派な事だと思います。

しかし、テレビニュースなどの報道による影響で「お年寄りが運転免許証を返納しないのはおかしい!」と極端に傾いてしまうのは問題だと思います。

「地方では、運転免許が必要!」
「歳をとったら返納すべき!」

といった議論は、本質ではないような気がします。

「返納が必要なお年寄りをどうするか?」
「違反点数による免許取り消しでは遅いので、何らかの方法はないのか?」


という個別の議論あるいは基準が必要になるような気がします。
TPPの問題などで話題となっている日本の農業従事者もお年寄りがほとんどですが、自動車の運転は必ず必要な仕事だと思います。

本当に返納が必要な人に「運転免許証を返納してもらう方法」というのはあるのでしょうか?



加害者側からみた年齢層別事故の特徴
http://www.sonpo.or.jp/protection/research/traffic/pdf/index/bko_bunseki001.pdf

Wikipedia [交通事故]
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%A4%E9%80%9A%E4%BA%8B%E6%95%85#.E4.BA.A4.E9.80.9A.E4.BA.8B.E6.95.85.E6.AD.BB.E4.BA.A1.E8.80.85
Posted at 2012/09/17 01:01:50 | コメント(4) | トラックバック(0) | コラム | イベント・キャンペーン