FT-86（トヨタ86／スバルBRZ）が水平対向エンジンを採用した理由（わけ）。

トヨタから今回の「FT-86プロジェクト」が生まれる以前、何度かコンパクトFRスポーツ「AE86を今一度」と思われるトヨタのチャレンジがありました。

代表的なのは、コンパクトなFRスポーツセダンを目指して開発されたスポーツセダン「アルテッツァ」です。

1998年、出来上がった４ドアスポーツセダンは決してコンパクトでは無かったですが、気持ちの良いドライブフィールのFRセダンでした。

この「アルテッツァ」はトヨタの「かつてのAE86のように若者のクルマに……」という基本コンセプトがあったようです。

筆者は６速MTのRS200に１年ほど乗っていた経緯がありますが、確かに内装などの陳腐さはAE86を彷彿とさせる雰囲気がありました。

結果としてAE86時代のファンに支持されましたが、一代で生産終了となりました。

後継はレクサス“IS”と言うことになりましたが、異なるポジション・クラス車両になっています。

さらにアルテッツァ発表時、すでにこの時代の20歳代の若者の大多数はクルマにあまり興味がなく、あまつさえ４ドアセダン（例えそれがスポーツセダンでも……。

一部ファンはWRCベースのセダンを強烈に支持しましたが）には、まったく興味が無く、大勢で乗れるミニバンを志向していました──普段はひとりで乗ることがほとんどでも──です。

今回のFT-86コンセプト（スバルBZR／トヨタ86）は、「アルテッツァ」で直列４気筒を無理矢理フロントミッドシップ搭載しながら、低重心とはほど遠かったあの時代を経て（反省を込めて）完成しました。

あれから10年以上たったいま、スバルの水平対向エンジンを得て、FT-86コンセプト（スバルBZR／トヨタ86）には、「アルテッツァ」のリベンジが込められているようです。

FT-86が狙っているメインターゲットもアルテッツァとは違うようで、AE86を知っている世代なのかもしれません。